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ある部屋の風景

蝉が鳴き始めた七月のある朝、昔付き合っていた人の部屋に似ていると思った。

塗りムラをわざとらしく残した安っぽい胡粉色の壁をなぞる。

ストライプのシーツ。

茶色の大きな枕。

灰色のタオルケット。

紺色の遮光カーテンの隙間から覗くのは微かだけれど確かに眩しいひかり。

壁紙に誰にも気付かれないような線を刻み、

それを遮る。

血の色が透けて見える。

あの頃よりも少し痩せて骨ばった指は、

我ながら綺麗だ。

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